Hiroshi TACHIKAWA

エッセイ

旅のつばくろ

新幹線に乗るという体験は、本来、魅力的なものだと思う。それは新幹線が旅を想起させるからであり、まだ見ぬ新しい世界へと連れて行ってくれる、何か象徴のようなものに感じられるからだ。 しかし社会人にとっての新幹線は、必ずしもそうとは限らない。出張の目的が退屈な社内会議だったり、過酷な現場対応ということもあるだろう。車窓に映る風景の印象は、時と場合で如何様にも変わる。 そして、品質管理を担う...
エッセイ

ハンカチのすゝめ

私はオシャレには疎い。普段からファッション誌を読むこともないし、これといって好きなブランドがあるわけでもない。値段も全然気にはしない。 例えば、靴下は4足990円のユニクロのものを履いている。片方の靴下が傷んだとしても、左右セットで捨てるようなことはしない。右と左が同じ仕立てになっているから、別のペアの片方がダメになったときに、残ったもの同士を組み合わせれば、左右関係なく新しいペアになる。...
エッセイ

ロードスターに乗る理由

今年も自動車の納税通知書が届いた。仙台ナンバーに変わって初めての通知書だが、いかにも役所っぽいお堅いデザインの封筒と、今頃という時期が重なって、一目見てそれと分かった。 この通知を見ると陰鬱な気持ちがよぎるのは、毎年のことだ。封を切ると自然とため息が出てくる。そして、書面を見て今年も嘆くのだ。あぁ、本当に高いなぁ、と。
エッセイ

自己啓発本に惑わされないために

数年前まで、私は自己啓発本を乱読する生活を送っていた。 当時といえば、開発業務から品質管理に職務が変わって数年が経った頃だ。品質マンとしての経験はそれなりに重ねてきてはいたが、品質管理における、いわゆる王道スキルを活用するような職場でもなく、自分の立ち位置が何となく中途半端なものに感じられていた。社会人としてこの先も通用し続けられるかどうか分からず、かと言っていきなり転職するような勇気もな...
エッセイ

手ぶらで出掛ける気楽さを

くの字に折れ曲がった紙幣をレジのトレーに出すというのが好きになれず、昔から長財布を愛用してきた。最初に手にしたのは高校生の頃だったかと思うが、今思えば、結構マセていたように見えたかもしれない。 長財布であることだけでなく、それが薄手であることも重要なポイントである。ポイントカードやレシートの束を大量に挟み込み、まるでハンバーガーみたいになった二つ折り財布を持っている人をたまに見かけることが...
日々のブログ

仙台に引っ越しました

この度転勤が決まり、仙台へ引っ越すことになった。というか、引っ越して既に3ヶ月が経っている。バタバタしているうちに年末年始を迎えてしまい、それでも片付けが終わらず、ようやく今になってこんな報告記事を書くに至った。 元々は、工学研究科の院卒というバリバリの理系である。開発職志望ということで現在の会社に就職したのだが、「開発するなら現場も知らないと」と言われ、開発棟のある横浜から豊橋に放り出さ...
エッセイ

味覚の閾値

世の中、ラーメン好きで溢れている。さすがに34ともなると飲み会後にラーメンでシメるということは無くなったが、周囲を見渡せば相変わらずラーメン道を極めんとする友人・同僚が数多くいる。きっと、あなたの周りにも1人や2人はいることだろう。 そんなラーメン通から、旨いラーメン屋を紹介してくれないかと言われたら、パッと応えられるだろうか。
エッセイ

名前が覚えられない

人の名前を覚えることが苦手だ。新聞とか雑誌記事の冒頭に顔写真付きの人物紹介が載っていたりするが、読んでいる間は覚えていても、次の記事に進む頃にはもう忘れている。読み終えたときに「ちなみにこれは誰の事を書いていたんだっけ?」と思い返すようにしているのだが、パッと出てきたためしが無い。仕方なく冒頭に戻ってもう一度人物紹介を眺め、「あぁ、ヤマダさんだったな」となる。
エッセイ

自室を持つということ

少し前、妻の実家に1ヶ月ほど滞在する機会があった。出産を予定していた子供がうまくいかない結果に終わってしまい、妻が精神的にかなり不安定だったため、ご両親のもとで療養することになったのだが、どういうわけか私も一緒にお世話になってしまったのである。そんなわけにはいかないと断ったのだが、彼女のサポートにもなるからと、周囲に押し切られてしまった。我が家と妻の実家は車で5分程とかなり近く、その気になればい...
エッセイ

Made in Chinaを軽視すべきではない

色々あって最近は滞り気味だが、少し前まで、週2回を目標にジムへ通うようにしていた。33にもなると体重やら体脂肪率やら、色々な数字が徐々に気になり出したりする。そもそも、車での生活が前提という豊橋の都市構造が良くない。関東に住んでいた頃はネズミのように動きまわったものだが、自動車での移動が日常の今となっては、そんな習慣もすっかり無くなってしまった。