僕がロードスターに乗る理由

今年も自動車の納税通知書が届いた。仙台ナンバーに変わって初めての通知書だが、いかにも役所っぽいお堅いデザインの封筒と、今頃という時期が重なって、一目見てそれと分かった。

この通知を見ると陰鬱な気持ちがよぎるのは、毎年のことだ。封を切ると自然とため息が出てくる。そして、書面を見て今年も嘆くのだ。あぁ、本当に高いなぁ、と。

マツダ・ロードスターとの出逢いは、高校生になりたての頃だったかと記憶している。ちょうどクルマに興味を持ち始め、レースゲームにハマったり、自動車メーカーのカタログを片っ端から集め始めたりしていた時のことだ。僕にはクルマ好きの友人はいなかったから、クルマのことを話す相手はいつも父だった。

その父が、ある時、もしスポーツカーに乗るのならロードスターがいい、と言ったことがあった。確か、クルマに対する互いの趣味嗜好を言い合っていた時のことだと思う。それが、僕がロードスターのことを考えた最初の記憶である。

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自己啓発本に惑わされないために

数年前まで、僕は自己啓発本を乱読する生活を送っていた。

開発業務から品質管理に職務が変わって数年が経ち、品質マンとしての経験はそれなりに重ねてきた状況ではあった。しかし、品質管理におけるいわゆる王道スキルを活用するような職場ではなく、仕事がやけに中途半端なものに感じられていた。社会人としてこの先も通用し続けられるかどうか分からず、かといっていきなり転職するような勇気もない。何もできない自分に対して、ただ苛立ちだけが積もっていく。半ば救いを求めるようにしてすがったのが、自己啓発本だったのである。

自己啓発本とは不思議なものだ。読んだ瞬間から、まるで自分が成長したかのような錯覚を覚える。書いてあることを実践しないと決して血肉にはならないのに、読んで満足してしまう危うさもはらんでいる。実のところ、1度読んだきりという人は多いのではないだろうか。そうでなければ、毎年毎年、ビジネス書籍のランキングが自己啓発本で埋め尽くされる理由が説明できない。皆、同じところを堂々巡りして、似たような本を蒐集しているだけではないのか。かつての僕のように。

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手ぶらで出掛ける気楽さ

会計の際、くの字に折れ曲がった紙幣をトレーに出す、というのがどうにも格好悪く感じられ、学生の頃から薄手の長財布を愛用してきた。高校生で長財布を持っているのは、今思えばかなりマセていたのかもしれないが、強いこだわりがあったので、特に気にはならなかった。

薄手、というのも重要なポイントだ。ポイントカードやレシートを沢山挟み込んだ、ハンバーガーみたいな二つ折り財布を無理矢理お尻のポケットに突っ込んでいる人をたまに見かけるが、僕にはよく理解できない。体に密着させていて、違和感は無いのだろうか。

とはいえ長財布も、お尻のポケットとは、実は相性が悪い。財布の上半分が思いっきりはみ出しているのは、格好悪い以上にかなり危ない(そういう人もたまにいるが)。ジャケットがあれば裏ポケットに収められるのだが、薄着の夏は困りものだ。頑張って薄手のジャケットを羽織ってみたりもしたが、とても耐えられたものじゃない。

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仙台に引っ越しました

この度転勤が決まり、仙台へ引っ越すことになった。というか、引っ越して既に3ヶ月が経っている。バタバタしているうちに年末年始を迎えてしまい、それでも片付けが終わらず、ようやく今になってこんな報告記事を書くに至った。

元々は、工学研究科の院卒というバリバリの理系である。開発職志望ということで現在の会社に就職したのだが、「開発するなら現場も知らなきゃね」と言われ、開発棟のある横浜から豊橋に放り出された。それが7年前。時が来ればまた開発畑に戻るものと思い込んでいたのだが、待てど暮らせどお声が掛からない。こりゃあ永住確定だわ、と腹を括ろうとしていた矢先、ついに転勤が決まった。ただし開発に戻るわけではなく、やることは相変わらず品質管理である。もう開発は無理なんかなあ。

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味覚の話

世の中、ラーメン好きで溢れている。さすがに34ともなると飲み会後にラーメンでシメるということは無くなったが、周囲を見渡せば相変わらずラーメン道を極めんとする友人・同僚が数多くいる。きっと、あなたの周りにも1人や2人はいることだろう。

そんなラーメン通から、旨いラーメン屋を紹介してくれないかと言われたら、パッと応えられるだろうか。

色々な店を訪ねてきたが、僕は不味いラーメンというものに出会ったことがない。たまたまそういう店に入ったことがないだけなら幸せだが、多分違う。サービスエリアやゲレンデにあるような、値段の割に素っ気ないラーメンでも普通に旨いと思っているので、本当は味覚音痴なのかもしれない。いや、味覚の閾値が極端に低い、という方が正しい表現なのだろう。

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名前が覚えられない

人の名前を覚えることが苦手だ。新聞とか雑誌記事の冒頭に顔写真付きの人物紹介が載っていたりするが、読んでいる間は覚えていても、次の記事に進む頃にはもう忘れている。読み終えたときに「ちなみにこれは誰の事を書いていたんだっけ?」と思い返すようにしているのだが、パッと出てきたためしが無い。仕方なく冒頭に戻ってもう一度人物紹介を眺め、「あぁ、ヤマダさんだったな」となる。

ところが、小説やノンフィクション作品に出てくるキャラクターは、なぜかスイスイと入ってくる。登場人物とその場の状況がセットになっているから、先々読み進めたときに「あぁ、この人はさっき○○してたヤツだな」と思い出すことができる。だから、決して記憶力が悪いわけではない。

不思議なことに、顔写真と名字だけだとなかなか記憶に残らないのに、なぜか下の名前だとスッと落ちてくることがある。一度など「ほら、えーっと、あの人。そう、マリコ。何マリコだっけ?」ということがあった。親しい間柄でもないのにいきなり下の名前で呼ぶとは、なんと失礼なヤツか。 “名前が覚えられない” の続きを読む

自室を持つことの是非

少し前、妻の実家に1ヶ月ほど滞在する機会があった。出産を予定していた子供がうまくいかない結果に終わってしまい、妻が精神的にかなり不安定だったため、ご両親のもとで療養することになったのだが、どういうわけか自分も一緒にお世話になってしまったのである。そんなわけにはいかないと断ったのだが、彼女のサポートにもなるからと、周囲に押し切られてしまった。我が家と妻の実家は車で5分程とかなり近く、その気になればいつでも顔を出せたのだが……。

ところで、妻は4人姉弟の長女だ。ご実家には祖父母もいるので、2世帯・8人という大きな所帯である。家は木造の平屋だったものを、子供達の成長に合わせて建て増ししたという。そんな中に僕が入ったことで、やはり窮屈に感じられたかもしれない。滞在中はあまり迷惑を掛けるわけにもいかないので、なるべくおとなしくしていた。

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Made in Chinaを軽視すべきではない

色々あって最近は滞り気味だが、少し前まで、週2回を目標にジムへ通うようにしていた。33にもなると体重やら体脂肪率やら、色々な数字が徐々に気になり出したりする。そもそも、車での生活が前提という豊橋の都市構造が良くない。関東に住んでいた頃はネズミのように動きまわったものだが、自動車での移動が日常の今となっては、そんな習慣もすっかり無くなってしまった。

そんな折、ジムの最中に音楽が聴ければと、Bluetoothのワイヤレスイヤフォンを購入した。特別使い勝手がいいというわけではないが、逆に欠点や不満も無い。そして何より、圧倒的に高いコストパフォーマンス。Amazonで高評価を得ているアイテムに、失敗は無いのだ。

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自由時間を限界まで最大化するための考察

社会人をやっていると、学ばねばならないことが如何に多いかを日々痛感させられる。優秀な人々は有り余る才能を遺憾なく発揮して世の中をどんどん回しているし、若い人々は持て余すエネルギーをフル活用して新しいことに次々チャレンジしている。「停滞は緩やかな死」とはよく言ったものだ。そして終身雇用や年功序列が崩壊しかけている今、職務を超えてスキルを磨くことの必要性は、もはや語るべくもない。

とは言え、日々を忙しく過ごす僕たちは、どうやって学びの時間を確保すればいいのだろうか。

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「キラキラネーム」の背景を考える

プライベートで、これから大きなイベントがやってくる。まぁ早い話が、子供ができた。安定期に入ったわけではないので知人・友人には公表していないが、匿名を前提とする空間なら何言ったって構わないと思って、ここではぶっちゃけてしまう。プライベートでお付き合いのある方は、お察しください。

ま、それはそれとして、そんな経緯から先日、本屋で名前辞典なるものを手にした。いずれ参考にすることもあろう、くらいの軽いノリだ。平積みにPOP付きなのでかなり売れている様子。内容は、漢字1字をピックアップし、どんな意味が込められているかをサラッと解説した後、その1字を用いた名前をいくつか列挙するというものだった。

以前から不思議に思っていたのだが、国語学者でもない一般人が、キラキラネームに代表されるああも難しい漢字を一体どこから、どうして引っ張り出してこれるのだろうか。今回、その本を手にしたことで、長らく抱いていた疑問が氷解した。

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